MUKU-DATA  数寄屋風雷 新潟市西蒲区六分

和風の平屋をリフォームしていたFさんのお宅にお邪魔してきた。
どこに何の木をどういった感じで使うか?の相談は殆どしていない。
Fさんオリジナルの木の使い方、
書、庭、盆栽、水石、それらを中心として
そこで何の材を使って、それらがどう見えるのか?をご自身で考えて
木材倉庫あった材木たちを使っていただいた。
意表をついたのは床柱として作られた松のシャレ木(枯れた木)の
立っている位置だった。
床柱として使うのかと思いきや、床柱の部分には槐の中曲りの面皮付き
在庫として工務店さんが持っていたものらしい。
じゃあ、その松はどこへ使うの?と思っていたが
8畳間に片寄せして
雪見障子からの庭の位置と、ここに飾る書を見る際に邪魔にならない位置を
現場で大工さんと何度もずらしながら位置決めしたらしい。
まさに木にFさんの才が加わりオリジナルの「材」となったものかと思う。

床框は黒檀、床板(とこいた)には神代杉が使われ水石が設えてあった。

部分的に使われている黒檀や黒柿の縞模様と書の墨の曲線が呼応する。
虫食いや割れた木、穴の空いた木など気にせずに使われているが
そこに置かれた書も喜怒哀楽、そのままの飾らない姿は
どこか通じるものがあり、心にグサリと刺さってくる。

置かれてある書を眺めていると、野太くかすれた墨が大木の樹皮に見えてくる。
深い森の中に一人でいるような感覚になってくる。
邪心を捨て無になれた時、人は木に近づけるのかもしれない。。。

木の使い方は人それぞれでいいのかと思う。
その人なりに一生懸命に考えた使い方、選ばれて取り付けられた位置は
決して設計士さんや工務店さんでは出てこない使い方、見え方となり面白い。
その人特有の「材」となりそこで異彩を放ち存在する。